天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
それに、“根はいい人”って言葉、本当にいい人に使われるためしはないわよね。
そう思って苦笑する私を、彼は不気味そうに見ていた。まったく、失礼な。
性格が合わないことをひしひしと理解はしつつ、なんとなく香月先生の存在に慣れてきたある日。
今日、香月先生は先に退勤したと情報を得ている。
というか公休だったのだけれど、昼過ぎから夕方にかけて、後継者指名に関する理事会があるため出勤していたと聞いていた。
何度か救急にも顔を出していたらしいので、本当にあの人は忙しい。
玄関には先生の靴があった。さて、今日は夕食に何を作っているのかとキッチンを覗くも、姿がない。
「あれ」
私は首を傾げ、すぐさまエコバッグをテーブルに放り出して廊下を足早に歩く。
「先生。香月先生」
私はコンコンコンと重厚なドアをノックする。
「いらっしゃいますよね。ご体調は」
「……大丈夫だ」
「はい失礼します」
幸い鍵はかかっていなかった。