天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】

 幸い薬が効いたようで、すやすや眠っている。起こさないよう、そっと手首に触れる。橈骨動脈に触れ、おおむね血圧も脈拍も正常なのを確認して、額の汗をタオルで拭う。

「あまり先生ひとりで抱え込むことはないのですよ」

 ぽろっとそんな言葉が漏れる。
 先生はいくらでも手を抜いて楽をしようとおもえばできる人間だ。能力的にも、立場的にも。

 ならそうしたらいい。
 でもしない。責任と矜持が彼にそれを許さない。誇り高いドクター。

 でも、少しくらい周囲に頼ることを覚えたほうがいい。

「ひとりじゃないんですから」

 私は呟き、立ち上がり、電気を消す。

 部屋はぼんやり、青く明るい。月明かりが差し込んでいる。
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