天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
一緒に住んでいる家の家具を探しにきたのだろうと、容易に想像がつくような……俺たちもそう見えているのだろうか?
そこまで考え、なんて無駄なことをと思う。
一緒に住んでいるのは俺の治療のためで、婚約者のふりをしているのは次々に持ち込まれる見合いを避けるためだ。
なのに、周囲からカップル、あるいは……夫婦だとみられているかもしれないと思うとどうにも面はゆい。
つい一か月前まで、そんなふうに見られるのは死んでもごめんだと思っていたのに。
「お待たせしました」
両手にソフトクリームを持って吉武が戻ってくる。
ふと近くにいた軽薄そうな男ふたり組が小さく「なんだ」「男連れか」と囁きあうのが聞こえた。
こんなところでナンパか、阿保らしい……というよりなにか獰猛な感情が湧いた。
子どものころ、大切にしていたものに勝手に触れられたときのような、純粋な怒り。
俺にひとつソフトクリームを渡し、ナンパには気が付いていない吉武は美味しそうにアイスに口をつけた。
なんだかそれを見られたくなく、そいつらから隠すように身体をずらし、振り向いてにらみつける。
男たちはビクっと身体を揺らし、足早に去っていった。
「どうしたんですか」
「いや」
「茶髪の二人組?」
普通に聞き返されて目を丸くする。気が付いて無視していただけか。
吉武はふふふと笑う。
「私みたいなの、狙わなくてもねえ」
「君は綺麗だからな」