天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】

「ご両親が海外なのは、昔からですか?」

 ふと吉武が口にする。

「いや。俺が卒業するやいなや、さっさと日本を出ていった。ずっとそういう活動がしたかったらしい」
「へー……」

 吉武は陳列されているパンやジュースを眺め相槌を打ち、それから納得したように頷いた。

「なるほど、よくわかりました。ご両親に似たんですね、先生は」
「なにが」
「不思議だったんです。俺様で天上天下唯我独尊でエゴイズムの塊みたいな香月先生が、必死で人を生かそうとしているのが」
「おい」

 あまりの言われように呆れ、吉武の頬をむちゅっと片手で掴む。

「ひゃ、ひゃめてくだしゃいよお」
「ははは」

 ヒヨコみたいになった吉武の顔を見て笑いながら手を放すと、吉武はむっとヒヨコのように唇を尖らせる。

「自分からヒヨコになってどうする」
「ひ、ひどい。もう」

 ぷりぷりと怒った吉武は多分本気で怒っているわけじゃない。怒っているふりがなんともかわいいと思う。ヒヨコというより、じゃれついてくる子猫……なるほど、俺は吉武を愛玩動物みたいに思っていたのか!

 自分の最近の感情に説明がつき、すっきりとした気分になりながら「で?」と吉武を見下ろす。

「俺様な俺が、なんだって?」
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