天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
私は慌てて彼から飛びのいた。
マッサージに夢中で気が付いてなかった……っ。
「す、すみません」
「いやいいよ。あー……」
宗司さんはむくりと起き上がり、目を細めて髪をかき上げた。
「志季子、アレだろ。普段、友達との旅行で女友達にしてるノリだっただろ?」
「う、ご名答です」
温泉という非日常の雰囲気に飲まれたのだ。
「まったく、無防備すぎるよな……なあ、一応聞くけどその旅行メンバーに男なんかいないよな」
「いませんよ」
「ふうん、よかった」
そう言いながら宗司さんはにやりと笑う。
「今度は俺がしてやろうか?」
「いやいいです。さっきプロの方にさんざん解していただいたので」
「そう言うなよ」
「下心のある顔をしないでください」
ニヤニヤされている。
「あるどころか、塊だよ」
「か、塊? 破廉恥な」
「破廉恥っていつの時代だよ。好きな女触りたいと思うのは当然だろ」
なんということを堂々と! 言い返そうとした私はあっさりと彼に押し倒され、シーツに縫い付けられていた。
「ほんと、無防備だよなあ」
そう言って彼は薄く笑い、前髪をかき上げた。
ドキッとしてしまうほど、壮絶な色気がその仕草ひとつひとつにあった。背中がわななく。
嫌な感じじゃない、むしろ……。
身体の奥に、ほんのり火が灯る。ひゅっと息を吸った唇に、彼が指を押し付けた。
「無理やりって嫌いなんだよ」
「……どの口が」
「本当だって。なあ志季子。キスしていいか?」
「や、……でも」
「お願い」
お願い? お願いなんて単語が、宗司さんの口から紡がれるだなんて!
目を丸くした私の頬を宗司さんがくすぐる。
「はは、真っ赤。かわいー……」
「ま、真っ赤なのは、こういうの、慣れてなくて、そのせいでっ」
「過去の男連想するような発言はやめてくれるか?」
宗司さんはにこっと笑う。笑っているのに目だけ笑ってない。
ぞくっと背中が粟だつ。
「過去の……なんて、いないですけど」
「は?」
「いや、忙しくて、そんな、恋愛だなんて……高校だって女子校だし」
しどろもどろに説明すると、宗司さんは本気でうれしそうになる。
「よかった。元彼がウチにいたらどこに飛ばしてやろうかとか考えてたんだ」
「物騒な」
「当たり前だろ?」
そうして眉を下げ、甘えた顔をする。普段の彼からは全く想像できない、甘えて蕩けた微笑みで、眉を下げ私を呼ぶ。
「志季子、キスしたい」