天敵外科医さま、いいから黙って偽装婚約しましょうか~愛さないと言った俺様ドクターの激愛が爆発して~【愛され最強ヒロインシリーズ】
ゆーちゃんもポカンとしてる。
「志季子?」
「話すことないよ。私、もう行くね」
ゆーちゃんを置いて部屋を出ながら、自分がどうしてこんなに憤っているのか不思議で何度も呼吸を整えなおす。
「宗司さんは、人のことを想える人だ」
文字通り命がけで、人を救おうとしている人だ。
それを愚弄されたのが嫌だった?
「それだけじゃ……ない」
私は呟く。それだけじゃない。
この感情は。
帰宅すると、珍しく宗司さんが先に家にいた。
ひんやりとした玄関先で抱きしめられ、「志季子」と名前を呼ばれる。
「俺を選べ」
「そ、宗司さん?」
「なんだよ、あんなに嬉しそうにして。俺の方が君を愛してるのに」
ぎゅうっと彼の大きな手のひらが私の頭を彼の身体に押し付ける。
はっきり聞こえる宗司さんの心臓の音。
すとん、と足元が抜けた気がした。自分の拍動が、ときめきだってはっきりとわかる。
どうしよう、私、彼に恋している。
信じられない……!
「あいつの目をみただろ? 君に見惚れていた」
「あいつって……ゆーちゃんですか?」
「その呼び方も気に食わないけど、そうだよ。おおかた、久しぶりに会ったら君が思った以上に綺麗になっててびっくりしたんだろう。俺のなのに、君をあんな目で見て」
宗司さんは舌打ちとともにそう言って、続ける。
「脅威だ」
「脅威?」
おうむ返しにしたあと、「ふふ」と笑う。
「ゆーちゃんは本当に幼馴染ですよ。なにかおきようもありません」
「俺にはわかるんだよ。君のことが好きだから、同じ感情を持ったやつの気持ちはよくわかる」
宗司さんは断言し、私の髪の毛をさらりと撫でる。
「こうなったら、遠慮しない。正式に君にプロポーズする」
心地いい彼の声を夢見心地に聞く。彼と一緒に生きていけるの?
本当に? 絶対に私のこと愛したりしないって言っていたのに……。