ハル
壁に乗ったインクを指先でこすってみると消えることがわかり、一安心だ。
それでもまた仕事が増えたことには変わりなくてハルをにらみつける。
ハルは自分が怒られていることも理解していないのか、今度はひとりで「シリトリ、リアカー、カルタ、タイムマシン……」と、しりとりを始めてしまった。
「諒、私雑巾取ってくるね」
「ちょっと待って、その前にこれを見てくれないか」
いつの間にかパソコンを起動して大画面を見つめていた諒が私を引き止める。
「パソコンに入れたの?」
「あぁ。笠原のおばあちゃんの誕生日がパスワードになってた」
その言葉に呆れてしまう。
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