ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
金縛りに遭ったような。
つい先日も、同じ感覚を体験したばかりだ。
どくどくと激しく脈打つ心臓を、手のひらで強く押さえる。
そうでもしていないと、勝手に身体を突き破って飛び出してきそうだった。そんなことはあり得ないと分かっていても、動く手を止められない。
「帰るぞ。送る」
「……結構です。ひとりで帰れます」
「送る」
多分、返答は求められていない。
一度は外された腕を再び掴み取られ、引きずられるようにしてホテルのエントランスを出る。外はほのかに蒸し暑く、湿気のこもった夜の空気に触れた私の手のひらは、すぐに汗を滲ませた。
帰りの車内では、自宅アパートまでの道のりを訊かれてそれに答える以外なにも喋らなかった。自宅を知られることについては、考えを巡らせる余裕すらなかった。
つい先日も、同じ感覚を体験したばかりだ。
どくどくと激しく脈打つ心臓を、手のひらで強く押さえる。
そうでもしていないと、勝手に身体を突き破って飛び出してきそうだった。そんなことはあり得ないと分かっていても、動く手を止められない。
「帰るぞ。送る」
「……結構です。ひとりで帰れます」
「送る」
多分、返答は求められていない。
一度は外された腕を再び掴み取られ、引きずられるようにしてホテルのエントランスを出る。外はほのかに蒸し暑く、湿気のこもった夜の空気に触れた私の手のひらは、すぐに汗を滲ませた。
帰りの車内では、自宅アパートまでの道のりを訊かれてそれに答える以外なにも喋らなかった。自宅を知られることについては、考えを巡らせる余裕すらなかった。