ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
通勤に使っていた自家用車は、今では実家の母が使っている。
実家にもしばらく帰っていない。今日唐突に顔を出してみようか、と他愛もないことを考えながら歩いて、ようやく目的の店に到着した。
「いらっしゃいま……あっ、那須野さん!」
「ありゃ、ゆずちゃん! 久しぶりだねぇ~どうしたの?」
「お久しぶりです、店長。それに内藤さんも!」
店長と一緒に、パートの内藤さんが楽しそうな声をあげて出迎えてくれた。
手をひらひらと振り、歩み寄ってくるふたりと談笑する。
店の奥、レジ前に立っている若い女の子とは面識がなかった。私が異動した後に入ったアルバイトだろう。
元来、木乃田は夏から秋にかけて観光客が増えるエリアで、この店も夏休み中の学生アルバイトを期間限定で採用することが多かった。
その予想は当たったらしく、店長がざっくりとお互いを紹介してくれた。
初々しさに満ちた彼女と挨拶を交わしながら、不意に入社当時の過去の自分が彼女へ重なり、微笑ましいような擽ったいようなよく分からない気分になる。
「いや~しかしゆずちゃん、すっかり本社の社員さんっぽくなったねぇ」
「えへへ、そうですか? ていうか本社の社員さんっぽいってなに?」
「ほらぁ、垢抜けた感じっていうの? もうどこの都会のお嬢さんが来たのかと思ったよぉ~」
「都会て」
実家にもしばらく帰っていない。今日唐突に顔を出してみようか、と他愛もないことを考えながら歩いて、ようやく目的の店に到着した。
「いらっしゃいま……あっ、那須野さん!」
「ありゃ、ゆずちゃん! 久しぶりだねぇ~どうしたの?」
「お久しぶりです、店長。それに内藤さんも!」
店長と一緒に、パートの内藤さんが楽しそうな声をあげて出迎えてくれた。
手をひらひらと振り、歩み寄ってくるふたりと談笑する。
店の奥、レジ前に立っている若い女の子とは面識がなかった。私が異動した後に入ったアルバイトだろう。
元来、木乃田は夏から秋にかけて観光客が増えるエリアで、この店も夏休み中の学生アルバイトを期間限定で採用することが多かった。
その予想は当たったらしく、店長がざっくりとお互いを紹介してくれた。
初々しさに満ちた彼女と挨拶を交わしながら、不意に入社当時の過去の自分が彼女へ重なり、微笑ましいような擽ったいようなよく分からない気分になる。
「いや~しかしゆずちゃん、すっかり本社の社員さんっぽくなったねぇ」
「えへへ、そうですか? ていうか本社の社員さんっぽいってなに?」
「ほらぁ、垢抜けた感じっていうの? もうどこの都会のお嬢さんが来たのかと思ったよぉ~」
「都会て」