ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「あんた今日、どうやってここまで来たの」
「え? ええと、電車です」
「わざわざ? 県境を跨いで?」
「そ、そうですよ。買い物がてら、のんびり過ごそうかなって」
「ふーん。そう」
自分から訊いておいて、沓澤課長は最後には碌に関心がなさそうな声をあげた。
なんなんだ、と思いながら、私は飴缶をもうひとつカゴに入れる。限定品だし、何度も足を運ぶには木乃田は少々遠い。余分に仕入れておいてもいい。
追加でカゴに入れた缶が、ことんとカゴの中の缶とぶつかり合う。ふた缶もあれば十分だ。カゴの中で揺れる缶をぼんやりと眺め、そのときにふと疑問が浮かぶ。
同じフレーバーの飴缶を三つも買って、沓澤課長はどうするつもりだろう。プレゼント用なら納得だけれど、自宅用だとしたら消費率が高すぎる。
通販で取り扱っていない店舗限定商品だからとはいえ、いくらなんでも買いすぎではないか。糖分の摂りすぎと口内炎が心配になってくる……とまで考えたとき、不意に声がかかった。
「帰り、送ろうか」
「は?」
予想していなかったひと言に、隣の彼の顔をまじまじと見つめてしまう。
沓澤課長はものすごく居心地悪そうに顔をしかめていて、私とは視線を合わせようとしない。
「え? ええと、電車です」
「わざわざ? 県境を跨いで?」
「そ、そうですよ。買い物がてら、のんびり過ごそうかなって」
「ふーん。そう」
自分から訊いておいて、沓澤課長は最後には碌に関心がなさそうな声をあげた。
なんなんだ、と思いながら、私は飴缶をもうひとつカゴに入れる。限定品だし、何度も足を運ぶには木乃田は少々遠い。余分に仕入れておいてもいい。
追加でカゴに入れた缶が、ことんとカゴの中の缶とぶつかり合う。ふた缶もあれば十分だ。カゴの中で揺れる缶をぼんやりと眺め、そのときにふと疑問が浮かぶ。
同じフレーバーの飴缶を三つも買って、沓澤課長はどうするつもりだろう。プレゼント用なら納得だけれど、自宅用だとしたら消費率が高すぎる。
通販で取り扱っていない店舗限定商品だからとはいえ、いくらなんでも買いすぎではないか。糖分の摂りすぎと口内炎が心配になってくる……とまで考えたとき、不意に声がかかった。
「帰り、送ろうか」
「は?」
予想していなかったひと言に、隣の彼の顔をまじまじと見つめてしまう。
沓澤課長はものすごく居心地悪そうに顔をしかめていて、私とは視線を合わせようとしない。