ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「なに食べたい?」
「あ……ええと、そうですね。なにがいいかな」
「那須野の地元ってこっちなんだろ? 行きたい店、もしあれば教えてくれ」
時刻はすでに午後一時半を回っている。
遅めに朝食を取ったこともあり、昼食についてはまだ考えていなかった。店を出てから実家にでも連絡して、あわよくば……程度に思っていた分、予想外の展開に動揺が嵩を増していく。
記憶を総動員し、どこかいいお店がなかったか考える。
忙しなく巡る頭の中へ、ふと実家近くのとんかつ定食屋が思い浮かんだ。肉厚で甘い香りがするサクサクのとんかつが頭いっぱいに浮かんで、不覚にも喉がこくりと鳴ってしまう。
仮にも男性をお誘いする食事処にしては、色気がなさすぎるだろうか。
いや、でもよく考えたらそのくらいのほうがいい。私は勘違いなんてしていないというアピールができる機会は、多いに越したことはない。
ご馳走するとは言われているけれど、財布だって出す気満々だ。私は沓澤課長に媚びてなどいませんと、本人に強くアピールしておかなければ。
「あの、脂っこいものでも大丈夫ですか?」
「いいよ」
「昔の部活仲間の実家なんですが、そこで良ければぜひ。とんかつ屋さんなんです」
「あ……ええと、そうですね。なにがいいかな」
「那須野の地元ってこっちなんだろ? 行きたい店、もしあれば教えてくれ」
時刻はすでに午後一時半を回っている。
遅めに朝食を取ったこともあり、昼食についてはまだ考えていなかった。店を出てから実家にでも連絡して、あわよくば……程度に思っていた分、予想外の展開に動揺が嵩を増していく。
記憶を総動員し、どこかいいお店がなかったか考える。
忙しなく巡る頭の中へ、ふと実家近くのとんかつ定食屋が思い浮かんだ。肉厚で甘い香りがするサクサクのとんかつが頭いっぱいに浮かんで、不覚にも喉がこくりと鳴ってしまう。
仮にも男性をお誘いする食事処にしては、色気がなさすぎるだろうか。
いや、でもよく考えたらそのくらいのほうがいい。私は勘違いなんてしていないというアピールができる機会は、多いに越したことはない。
ご馳走するとは言われているけれど、財布だって出す気満々だ。私は沓澤課長に媚びてなどいませんと、本人に強くアピールしておかなければ。
「あの、脂っこいものでも大丈夫ですか?」
「いいよ」
「昔の部活仲間の実家なんですが、そこで良ければぜひ。とんかつ屋さんなんです」