ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「あ……ええと、沓澤さんにご用でしょうか?」
「違うわ。あなたに会いにきたの。時間、少しもらえる?」
高圧的な声だったけれど、悪意は見出せなかった。
断ればすんなり引き下がってくれる気さえした。でも。
「はい。大丈夫です」
軽く頭を下げて応じると、菅野さんはほっとしたような顔を覗かせた。
向かった先は職場近くのカフェだ。
昼の休憩や帰社後に果歩とよく向かうそこで、好きな相手の元恋人と対面している自分が不思議で堪らない。
オーダーしたカップを手に、さっと見渡して空席を探す。平日の夕方、普段なら学生や仕事帰りの会社員で混み合う店内は、今日に限って珍しく席に余裕があった。
テーブル席を選び、向かい合って座る。
菅野さんは、飲み物というよりはデザートに近い、生クリームとシューがふんだんに載ったコーヒーを頼んでいた。私は普通のホットコーヒーだ。
カップの蓋にストローを差し込みながら、菅野さんはにっこりと微笑んで口を開いた。
「びっくりしたわ。奏ったら本気みたいね」
「……あの、以前もお伝えしようと思ったんですが、私は沓澤さんとお付き合いをしているわけでは」
「あら、そうなの? 奏の話と違うじゃない」
「違うわ。あなたに会いにきたの。時間、少しもらえる?」
高圧的な声だったけれど、悪意は見出せなかった。
断ればすんなり引き下がってくれる気さえした。でも。
「はい。大丈夫です」
軽く頭を下げて応じると、菅野さんはほっとしたような顔を覗かせた。
向かった先は職場近くのカフェだ。
昼の休憩や帰社後に果歩とよく向かうそこで、好きな相手の元恋人と対面している自分が不思議で堪らない。
オーダーしたカップを手に、さっと見渡して空席を探す。平日の夕方、普段なら学生や仕事帰りの会社員で混み合う店内は、今日に限って珍しく席に余裕があった。
テーブル席を選び、向かい合って座る。
菅野さんは、飲み物というよりはデザートに近い、生クリームとシューがふんだんに載ったコーヒーを頼んでいた。私は普通のホットコーヒーだ。
カップの蓋にストローを差し込みながら、菅野さんはにっこりと微笑んで口を開いた。
「びっくりしたわ。奏ったら本気みたいね」
「……あの、以前もお伝えしようと思ったんですが、私は沓澤さんとお付き合いをしているわけでは」
「あら、そうなの? 奏の話と違うじゃない」