ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
喋っている途中で息が詰まったから、キッチンから水を持ってきて飲みながら喋り続けた。その間も、果歩は相槌を交えつつ、私が再び話し出すのを待ってくれた。
残業の日にキスされて、試されているのかもと思ったこと。
長期の出張について、本人からなにも教えてもらえなかったこと。
木乃田店で偶然鉢合わせ、その後一緒に食事へ行ったこと。
昨日の残業で、流されるまままた触られてしまったこと。
ひと通り話し終え、ふうと息をつく。吐き出す前と吐き出した後では溜息の重みが違う気がして、泣き笑いしそうになった。
そんな私を労るように、果歩が『あのね』と穏やかに切り出し始める。
『実はあたし、沓澤課長とゆずのこと、三浦さんからちょっと聞いてるの』
「……え?」
『三浦さんは怒ってたよ、沓澤課長に』
……怒る? なんで?
三浦さんの怒った顔を想像してみたけれど、うまくいかなかった。今の私に思い浮かべられるのは、日中に階段の手前でぶつかったときに見かけた、あからさまに狼狽した顔だけだ。
『ふふ、意外だった? なんかね、見てるこっちが苛々してくるんだーって舌打ちしてた。沓澤課長、多分ゆずのこと、恋人役だなんてだいぶ前から思ってないよ』
残業の日にキスされて、試されているのかもと思ったこと。
長期の出張について、本人からなにも教えてもらえなかったこと。
木乃田店で偶然鉢合わせ、その後一緒に食事へ行ったこと。
昨日の残業で、流されるまままた触られてしまったこと。
ひと通り話し終え、ふうと息をつく。吐き出す前と吐き出した後では溜息の重みが違う気がして、泣き笑いしそうになった。
そんな私を労るように、果歩が『あのね』と穏やかに切り出し始める。
『実はあたし、沓澤課長とゆずのこと、三浦さんからちょっと聞いてるの』
「……え?」
『三浦さんは怒ってたよ、沓澤課長に』
……怒る? なんで?
三浦さんの怒った顔を想像してみたけれど、うまくいかなかった。今の私に思い浮かべられるのは、日中に階段の手前でぶつかったときに見かけた、あからさまに狼狽した顔だけだ。
『ふふ、意外だった? なんかね、見てるこっちが苛々してくるんだーって舌打ちしてた。沓澤課長、多分ゆずのこと、恋人役だなんてだいぶ前から思ってないよ』