ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「……でも」
『うん。ゆずからはなにも言えないの、分かるよ。好きならなおさら、それを言ったらぜーんぶ終わっちゃうかもって思ってるんでしょ?』

 思わずう、と口ごもる。
 果歩に対して頭が上がらないと思うのはこういうときだ。私があまり他人に見せたがらずにいる内面まで知っているから、良い意味で遠慮がない。取り繕っても仕方がないと早々に諦めざるを得ないほど、すべてお見通しなのだ。

『まぁ今回の件は、いろんなことをうやむやにしっぱなしの沓澤課長がダメダメっていうだけだと思うなぁ』
「べ、別にそんなこと……」
『はいはい。ゆずは沓澤課長のこと悪く言われるの、嫌なんだもんね』

 今度の〝お見通し〟は、少し癇に障った。
 反射的に、むう、とむくれた声が出てしまう。電話の向こうでは、果歩が笑って『ごめんごめん』と謝っていたけれど、大して悪いとは思っていなそうな声だった。

「はっきりさせるのが怖いから、私も避けてるってだけだし」
『なら、ゆずは今どう思ってる? 相手にアクションを起こしてほしい? どうしてそうしてくれないのって思ってる?』
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