ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「……それじゃ駄目だって分かってるけど、多分そうなんだと思う」

 淡々と答えているつもりではあったけれど、話す声は我ながら不機嫌そうだ。
 果歩が気を悪くするのではないかと普段なら真っ先に気に懸かるはずなのに、今は不思議とそう思わなかった。

 結局、果歩は私の不遜な態度に一切の不快感を示さないまま、『そっかぁ』とくすくす笑いを零した。

『だいたい分かった。なんていうか、ほんとに似た者同士だね、君たち』
「え?」

 似た者同士、という言葉が示す意味を捉えきれず、私は間の抜けた声をあげる。
 さらには果歩がすぐ『なんでもない』と撤回してしまったために、その詳細について尋ねることはできずじまいになった。

『まぁなんにせよ、明日も仕事なんだしさ。目の腫れは気にしなよ』
「あ……うん、そうだね。まだ鏡見てないけど、ひどいことになってそう」
『冷やせ冷やせ! あと、陰口叩いてた男どものことなんか気にしないでよ? 明日はいつもよりメイクバッチリにしてさ、ゆずがどれだけ可愛いか見せつけてやりな! ほーんとただの馬鹿だよ、そいつら!』
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