ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
     *


 翌朝。
 いつもより三十分早起きして、念入りにメイクを施す。

 目の腫れは完全には引ききらなかったから、それを隠すために、目周りは特に丹念に塗り込んでいく。
 普段よりも暗色のアイシャドウをベースに選び、瞼には肌に馴染む淡いピンクを乗せ、自然な感じで赤みを和らげた。

「……よし」

 鏡の前で瞬きする。これならきっと腫れに気づく人はいない。
 沓澤課長とどう接すればいいのか、まだ考えはまとまっていない。ただ、仕事中にはなにを考える必要もないだろう。

 仕事のことだけ考えていればいい。
 それから、できる限り残業にならないように職務に集中しなければ。
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