ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「沓澤課長のことなんだけど。あの人と那須野さんって、別に付き合ってなかったんだろ?」
「……はい」
終わった話だと思ったら、わざわざ取り繕うのが億劫で仕方なくなった。
すべてイエスとノーで答えられる質問だったら気楽だなと思いながら、面倒そうに応じた私の声に、しかし三浦さんは想像とは異なる反応を寄越した。
「悪い、知ってた。いや~あいつってマジで馬鹿だったんだな」
派手な舌打ちに物騒な言葉が続く。
ぽかんと目を見開いたきり、私はすっかり固まってしまう。
……聞き間違いだろうか。
あいつとか馬鹿とか、三浦さんが乱暴な言葉を使っているところを初めて見た。それに、沓澤課長は三浦さんの上司であり、先輩でもあるはずだ。
固まった私の傍へ歩み寄ってきた三浦さんは、シンクの横に放置していた急須に指を伸ばした。そのままお茶の支度を始める三浦さんの様子をぼんやりと眺めていた私は、ポットからお湯が注がれる音を聞き、ようやく我に返る。
お客様が見えたのかもしれない。客人用の茶碗を取り出そうとしたけれど、三浦さんは笑って首を横に振るばかりだ。
はいよ、と手渡されたマグカップを見つめたきり顔を上げられなくなる。
相当に困惑した顔を晒してしまっていたのだと思う。三浦さんは自分のカップに二番煎じのお茶を注ぎながら、穏やかに続ける。
「……はい」
終わった話だと思ったら、わざわざ取り繕うのが億劫で仕方なくなった。
すべてイエスとノーで答えられる質問だったら気楽だなと思いながら、面倒そうに応じた私の声に、しかし三浦さんは想像とは異なる反応を寄越した。
「悪い、知ってた。いや~あいつってマジで馬鹿だったんだな」
派手な舌打ちに物騒な言葉が続く。
ぽかんと目を見開いたきり、私はすっかり固まってしまう。
……聞き間違いだろうか。
あいつとか馬鹿とか、三浦さんが乱暴な言葉を使っているところを初めて見た。それに、沓澤課長は三浦さんの上司であり、先輩でもあるはずだ。
固まった私の傍へ歩み寄ってきた三浦さんは、シンクの横に放置していた急須に指を伸ばした。そのままお茶の支度を始める三浦さんの様子をぼんやりと眺めていた私は、ポットからお湯が注がれる音を聞き、ようやく我に返る。
お客様が見えたのかもしれない。客人用の茶碗を取り出そうとしたけれど、三浦さんは笑って首を横に振るばかりだ。
はいよ、と手渡されたマグカップを見つめたきり顔を上げられなくなる。
相当に困惑した顔を晒してしまっていたのだと思う。三浦さんは自分のカップに二番煎じのお茶を注ぎながら、穏やかに続ける。