ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「やめてください。浮気が理由で別れを切り出してきたのかって思われたら、私」
「いいだろ、別に。今日から俺があんたの彼氏役なんだ」
にべもなく言い返され、心が折れそうになる。
頼れる上司への好感度が見る間に下がっていく。仕事は真面目、社長の息子だという事実を鼻にかけない。すごく立派な人だと、純粋に思っていたのに。
「それ、もう決定なんですか?」
「決定だよ。ああ、メリットが欲しいんだったな。なんか考えとくよ」
文句を零したかったものの、声をあげることさえ億劫だった。頭がうまく回らず、ぼうっと立ち尽くしていると、沓澤代理は再び私の手からスマホを取り上げた。
画面を滑る指はやはり滑らかだ。勝手にいじらないでください、と言い終わった途端に返された。
画面を覗くと、沓澤代理の名前と連絡先が勝手に登録されている。
すごく困る。スマホを持つ指に力がこもった、そのとき。
「困ってたのは本当なんだろ」
「……は?」
「さっきの奴。相当参った顔してたよ、あんた」
不機嫌をそのまま顔に出して見上げた先で、沓澤代理は一転して思慮深そうな目で私を見下ろしていた。
「いいだろ、別に。今日から俺があんたの彼氏役なんだ」
にべもなく言い返され、心が折れそうになる。
頼れる上司への好感度が見る間に下がっていく。仕事は真面目、社長の息子だという事実を鼻にかけない。すごく立派な人だと、純粋に思っていたのに。
「それ、もう決定なんですか?」
「決定だよ。ああ、メリットが欲しいんだったな。なんか考えとくよ」
文句を零したかったものの、声をあげることさえ億劫だった。頭がうまく回らず、ぼうっと立ち尽くしていると、沓澤代理は再び私の手からスマホを取り上げた。
画面を滑る指はやはり滑らかだ。勝手にいじらないでください、と言い終わった途端に返された。
画面を覗くと、沓澤代理の名前と連絡先が勝手に登録されている。
すごく困る。スマホを持つ指に力がこもった、そのとき。
「困ってたのは本当なんだろ」
「……は?」
「さっきの奴。相当参った顔してたよ、あんた」
不機嫌をそのまま顔に出して見上げた先で、沓澤代理は一転して思慮深そうな目で私を見下ろしていた。