ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
思いのほか恨みがましくなった私の声に、彼は気まずそうに目を逸らす。
一応、私たちの関係のスタート地点が良からぬものだったという自覚はあるらしい。思わず口元が緩み、私はつい笑い声を漏らしてしまう。
拗ねた顔をするこの人も、好きだ。
オンもオフも関係なく、私はありのままの沓澤課長が好き。
「もう一回言ってくれ。さっきの」
「えっ? そ、そんなの言ってもらわなきゃ分からないです……?」
「違う、もっと前」
「ええと、本当に自分が思ってること、人に伝えるのが苦手で」
「戻りすぎだ。いいから早く言え、あんたは誰が好きなんだ?」
拗ねた顔をしていたはずの彼は、いつの間にか意地悪そうに笑っていた。
至近距離から悪戯っぽく覗き込まれ、急に悔しくなる。それでも、嬉しい気持ちのほうが遥かに勝っている。
焦がれ続けてきた夢が現実になった。長い長い持久走をゴールした瞬間の、息苦しさと幸福感が綯い交ぜになった――そんな感覚がくまなく全身を巡る。
この酩酊感に身を委ねているうちは、どんな気持ちもまっすぐに伝えられる気がした。
一応、私たちの関係のスタート地点が良からぬものだったという自覚はあるらしい。思わず口元が緩み、私はつい笑い声を漏らしてしまう。
拗ねた顔をするこの人も、好きだ。
オンもオフも関係なく、私はありのままの沓澤課長が好き。
「もう一回言ってくれ。さっきの」
「えっ? そ、そんなの言ってもらわなきゃ分からないです……?」
「違う、もっと前」
「ええと、本当に自分が思ってること、人に伝えるのが苦手で」
「戻りすぎだ。いいから早く言え、あんたは誰が好きなんだ?」
拗ねた顔をしていたはずの彼は、いつの間にか意地悪そうに笑っていた。
至近距離から悪戯っぽく覗き込まれ、急に悔しくなる。それでも、嬉しい気持ちのほうが遥かに勝っている。
焦がれ続けてきた夢が現実になった。長い長い持久走をゴールした瞬間の、息苦しさと幸福感が綯い交ぜになった――そんな感覚がくまなく全身を巡る。
この酩酊感に身を委ねているうちは、どんな気持ちもまっすぐに伝えられる気がした。