ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
「は? き、決まってんだろ、そんなの」
「駄目です、ちゃんと言って。私には言わせたのに」

 詰め寄りながら恨みがましく零すと、沓澤課長は派手に目を泳がせた。
 しかしその直後、彼は腹を決めたように表情を引き締める。熱っぽい視線を前に、けしかけた私のほうこそ罠へ落ちた気にさせられる。

「好きだ。多分あんたが思ってるよりずっと前から、あんたしか見てなかった。だから」

 ――だから、ゆずの全部、俺にちょうだい。

 鼓膜が蕩けそうなほどの甘い囁きに、今度こそ不安が霧散していく。
 返事をするために半端に開いた私の唇は、声を落とすよりも早く、沓澤課長のそれに塞がれてしまった。
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