ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
私たちが正式に交際を始めたことは、沓澤社長にも伝えた。
対面している間、終始にこにこ……いや、にやにやと笑みを向けられ、それはもう筆舌に尽くしがたい居心地の悪さだった。思い出すだけでもつらい。
そのときに結婚の話題が出てしまったから、きっと感化されたのだろう。
沓澤課長は意外と影響を受けやすいタイプだ。付き合い始めてから知った。互いを深く知る機会がなかった分、今もなお新しい発見は珍しくない。
「私は……まだ自信がないというか」
「自信? なんの?」
「いやその、結婚が嫌だと言いたいわけでは決してないのですが」
眉を寄せて睨むように私を見つめる沓澤課長は、若干不機嫌そうだ。
結婚そのものを拒んでいるのではないと、分かりやすくアクセントをつけて伝える。言葉が足りないせいで誤解が生じるなんて、繰り返すのは懲り懲りだ。
「私、普通の家の生まれですし、沓澤さんが社長の家族として重責を感じてるときとかちゃんと力になれるかなって考えてしまって」
「えっ、そこまで考えてくれてんの? 今すぐ結婚するしかなくないか、それ」
「人の話を聞いてください」
手を口元に添えて頬を染めた沓澤課長へ、ぴしゃりと言い放つ。
対面している間、終始にこにこ……いや、にやにやと笑みを向けられ、それはもう筆舌に尽くしがたい居心地の悪さだった。思い出すだけでもつらい。
そのときに結婚の話題が出てしまったから、きっと感化されたのだろう。
沓澤課長は意外と影響を受けやすいタイプだ。付き合い始めてから知った。互いを深く知る機会がなかった分、今もなお新しい発見は珍しくない。
「私は……まだ自信がないというか」
「自信? なんの?」
「いやその、結婚が嫌だと言いたいわけでは決してないのですが」
眉を寄せて睨むように私を見つめる沓澤課長は、若干不機嫌そうだ。
結婚そのものを拒んでいるのではないと、分かりやすくアクセントをつけて伝える。言葉が足りないせいで誤解が生じるなんて、繰り返すのは懲り懲りだ。
「私、普通の家の生まれですし、沓澤さんが社長の家族として重責を感じてるときとかちゃんと力になれるかなって考えてしまって」
「えっ、そこまで考えてくれてんの? 今すぐ結婚するしかなくないか、それ」
「人の話を聞いてください」
手を口元に添えて頬を染めた沓澤課長へ、ぴしゃりと言い放つ。