ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
へぇ、と穏やかに笑う社長は、本当にそれを知りたかったのかと疑わしくなるほど平然としている。
本当に聞きたいことや確認したいことは、どうやらその点ではなさそうだ。
底の知れない不安を覚え、私は再び身を固くする。しばらく続いた沈黙の後、沓澤代理が溜息交じりに口を開いた。
「そう見えるように協力してもらってる。こないだ家に帰ったときも、妙な話ばっかりしてた人いたでしょ。その辺の対応もいずれしてもらうつもり」
「ああ、母さんか。そういえばなんやかんや言ってたかもねぇ、菅野さんのお嬢さんがどうとかこうとか」
「……そういうのが面倒くせえんだっつの」
「でも那須野さんのこと、母さんは知らないぞ?」
「社内が先っていうだけ。けど一応言っといて。当然、本当のことは喋らないでください」
会話の中に知らない名前が登場したものの、私には誰なのか分からなかった。
得意先や取引先の中に同じ名のところがあるかどうか、思い浮かべてみるけれど、私が把握している中に菅野という名前は存在しない。思い当たる従業員もいない。〝菅野さん〟は、会社関係の人物ではないのかもしれなかった。
本当に聞きたいことや確認したいことは、どうやらその点ではなさそうだ。
底の知れない不安を覚え、私は再び身を固くする。しばらく続いた沈黙の後、沓澤代理が溜息交じりに口を開いた。
「そう見えるように協力してもらってる。こないだ家に帰ったときも、妙な話ばっかりしてた人いたでしょ。その辺の対応もいずれしてもらうつもり」
「ああ、母さんか。そういえばなんやかんや言ってたかもねぇ、菅野さんのお嬢さんがどうとかこうとか」
「……そういうのが面倒くせえんだっつの」
「でも那須野さんのこと、母さんは知らないぞ?」
「社内が先っていうだけ。けど一応言っといて。当然、本当のことは喋らないでください」
会話の中に知らない名前が登場したものの、私には誰なのか分からなかった。
得意先や取引先の中に同じ名のところがあるかどうか、思い浮かべてみるけれど、私が把握している中に菅野という名前は存在しない。思い当たる従業員もいない。〝菅野さん〟は、会社関係の人物ではないのかもしれなかった。