ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
噂が回るのは早い。
特に、沓澤代理に関する話題は。
課長クラスへの昇進の打診が来ているらしいと、先日人づてに聞いたのだ。果歩以外の人に聞かされたから、噂自体はかなり浸透していると思う。
異例の昇進スピードだけれど、きっと誰も反対しない。仕事ができるかできないかは、そこにはおそらく関係がない。皆そういうものだと思っている。そのまま受け入れてしまう。
沓澤代理自身がそのことを不快に感じていそうな感じは、確かにする。
その程度、すぐに想像がつくはずだったのに……うっかり滑った自分の口を責めようにも、もう手遅れだ。
「こうやって階段上るっぽく昇進してって、いずれ当然みてえに社長にされんのかね」
資料の束をトントンと揃えながら、沓澤代理はぽつりと呟いた。
独り言のようで、それでいて喋っている内容は他人事じみていた。
今回の昇進の件を、私は沓澤代理本人から一切聞いていない。その手の話を、多分、彼は軽率に公言しない。
余計なことを言ってしまった、と後悔が過ぎる。
それでも、いつまでも知らないふりを貫き通すのもそれはそれで不自然だ。とっくに多くの人が知っていて、まことしやかに囁かれている話題なのだから。
特に、沓澤代理に関する話題は。
課長クラスへの昇進の打診が来ているらしいと、先日人づてに聞いたのだ。果歩以外の人に聞かされたから、噂自体はかなり浸透していると思う。
異例の昇進スピードだけれど、きっと誰も反対しない。仕事ができるかできないかは、そこにはおそらく関係がない。皆そういうものだと思っている。そのまま受け入れてしまう。
沓澤代理自身がそのことを不快に感じていそうな感じは、確かにする。
その程度、すぐに想像がつくはずだったのに……うっかり滑った自分の口を責めようにも、もう手遅れだ。
「こうやって階段上るっぽく昇進してって、いずれ当然みてえに社長にされんのかね」
資料の束をトントンと揃えながら、沓澤代理はぽつりと呟いた。
独り言のようで、それでいて喋っている内容は他人事じみていた。
今回の昇進の件を、私は沓澤代理本人から一切聞いていない。その手の話を、多分、彼は軽率に公言しない。
余計なことを言ってしまった、と後悔が過ぎる。
それでも、いつまでも知らないふりを貫き通すのもそれはそれで不自然だ。とっくに多くの人が知っていて、まことしやかに囁かれている話題なのだから。