大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
隣で伸びをした穂高が言う。
「朝食、作るよ。冷蔵庫見てもいい?」
「うん。……じゃあ、一緒に作ろう?」
「そうだな」
二人で着替えてキッチンへ向かい、肩が触れるほど近くで手際よく朝食を用意していく。
フライパンを温める穂高の横顔。包丁を扱う手の動き。
どれも昔と変わらないのに、もっと洗練されていて、優しい。
「ほんと、昔から器用だよね」
「千紘は上手になったな」
「最近はサボり気味だけど、結婚してた時は毎日自分で作ってたから……」
言いかけて、あっ、と息を呑んだ。
穂高の気持ちを考えていなかった。
だけど穂高は、小さく苦笑するだけだった。
「これまでの生活が千紘を成長させたのは分かる。でも、それも全部、俺が見てたかったな」
「……ごめん」
「謝るなよ。今こうして、一緒にいられてるんだから十分だ」
穂高の笑みに救われた気がした。