大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
お風呂から出ると、男女の出入口の前に浴衣姿の穂高が座って待っていた。
胸元が少し開いた浴衣姿がやけに色っぽくて、思わず視線をそらしてしまう。
(普通は逆じゃない? なんで私がこんなにドキドキしてるの……)
とは思うけれど、これは相手が悪い。
穂高は私に気づくとすぐ立ち上がって、微笑むとそっと私の手を取った。
「千紘、すごく浴衣が似合う」
「穂高の方が似合ってるよ」
「ありがとう。……行こう」
手から熱が伝わる。愛しい熱だ。
別れるとき、私がこの手を離してしまった。
もっと冷静に話していれば何か変わったかもしれないのに。
この手を、もう二度と離したくない。離しちゃダメだ。
そう思った私は彼の手を強く握り返した。