大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
「俺もあの時、この手を離したことをずっと後悔していた」
彼は私の後ろからそっと手を取り、指の間をゆっくりなぞるようにして絡める。
「俺の家が離婚しているのは知ってるだろ? 母の姓を名乗ってるのは、父への反抗心もあったんだ。父は昔ながらの考えで、俺が跡を継ぐのが当然みたいに思ってて……。俺は勉強だけすればいいと言われて、母と姉はただの家政婦みたいに扱われて……。父の機嫌ひとつで生活が回っていた」
初めて聞く話だった。穂高からも、瑞穂さんからも、そんな家庭の背景を聞いたことはない。
だけど二人の父親である現会長は、今はずいぶん大人しいが、昔はかなり男尊女卑思考が強く、ベテラン社員が男ばかりなのはそのせいだと聞いたことがある。
穂高は苦笑しながら続けた。