大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
「いるんだって、分かってんだからな!」
ドンッ、と玄関を叩く音。
近所迷惑だし、何より恐怖で手が震える。
私は黙っていたが、あまりにうるさいので、ドアチェーンをかけたままほんの数センチだけドアを開けた。
「……なによ」
匡輔は相変わらず不機嫌で、昔より荒んだ目をして立っていた。
無精髭もあり、少し痩せていて、第一印象が随分変わったと思った。
「チェーンって何だよ。開けろ」
「やだよ。なんで『関係のない男の人』を家に上げなきゃいけないの?」
「なんでだよ!」
ドアの横がドンと叩かれ、私は思わず肩が跳ねた。
でも、すぐに睨み返した。
「そういうことをするから、二人きりになりたくないの。分からないなら帰って。帰らないなら警察呼ぶよ」