大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

 ムッとしていると穂高は続ける。

「でもね、その研究のコントロールと書類全部を本社でまとめる部署があってさ、それがグローバルR&D戦略室ってところ。そこに異動なんだ。室長兼、海外事業統括役員になる予定」
「……ん?」
「もちろん出張はあるよ? でも拠点は日本だ」
「日本……」

 私が復唱すると、堪えきれないように穂高が笑う。

 私は思わずバッと後ろを向いた。
 後ろでは篠田さんが、「ごめん」と手で示しながらも、悪戯っぽい笑みを浮かべている。

 穂高がそちらを見て笑った。

「あぁ、これは篠田さんのおかげなんだ。ありがとう。いい部下を持ったなぁ」
「勘違いさせる気はなかったんですけど、最後に恩返しできてよかったです。千紘さん、意外とうっかりなんですね。部長もよく意味が分かって乗っかれましたね?」
「まぁ、そうかなって。千紘の考えることは昔からなんとなくわかるんだ」

 二人は楽しそうに話をしている。

(……え、え、ちょっと待って。本当に日本……?)
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