大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
そして、そんな日々の中で、姉が社長に就任するという連絡が来た。
それについて、俺は正直かなり驚いた。
「おめでとう……。すごいな、姉さんは。あの父さんを変えたんだ」
父は『女性の社長』なんて絶対に認めないタイプだ。
だから母さんも姉さんも女だからと軽く見て、家政婦のように扱って、暴言だって当たり前に吐いていた。
そんな父への反抗心もあって、離婚した時、俺は母についていくことを譲らなかった。
なのに姉は父といて、父の歪んだ考えをねじ伏せたのだ。
『私だけじゃない。穂高のおかげもあるわ』
「俺?」
『なんだかんだずっとあんたの活躍はチェックしてるんだから。一度、そっちにも発表を見に行ったことがあるのよ? アメリカで堂々と活躍してる姿には驚かされたみたい。母さんが亡くなってから、あの人は少しずつだけど変わったわ』
俺はそんな父が想像がつかなかった。厳しいだけで、周りをさげすむ父だったのに。
『もう昔の父さんじゃないわよ。それに何かあっても、もう私の方が強いから安心して! ……ねえ、穂高、日本に帰ってこない? 私の右腕になって支えなさいよ』
命令口調が何とも姉らしい。彼女はとても優しいが、それを強い口調で隠す。
「でも、こっちの研究もあるしな……。それに役員とかだろ? 会社の状況もわからない俺には向かないよ」
『開発部ならいいわけ? 穂高の論文見てるけど、最近ほとんど面白い研究してないじゃない。その点、うちの開発部は私が基礎を作ったから面白いわよ。それに、開発部員も私が就職の時から面接で決めたんだから優秀で面白い子ばっかり! あなたが来てくれたら本当に助かるの』
姉さんが立ち上げた場所。少し、面白そうだと思った。
『今までの特許とか資料送ってあげるから見て考えて、返事ちょうだい。待ってるから』
そう言って、姉は一方的に電話を切った。
一緒に住んでいた時間は長くなかったが、両親が離婚してからも、姉は何度も連絡をくれ、父とのパイプ役にもなってくれた。
母が入院した時も、亡くなった時も、そばにいてくれた。
年が離れているからか、俺にとっては第二の母みたいな存在だった。
そんな姉が力を貸してほしいと言うなら、戻りたい気持ちもよぎる。
俺は少しシスコン気味なのかもしれないな、と思って苦笑しながら、すぐにPCで送られてきたメールを開いた。
そこには、会社の説明、これまでの特許、現在の研究テーマ……。その中に、一つの名前があった。
――桐沢千紘。
時間が止まったようだった。
同姓同名か……?
そう疑ったが、調べるほどにやっぱり本人だった。
「……運命」
気づけばそんな言葉がこぼれていた。
だって、俺は母の姓で名字も違うし、彼女には家の事情なんて何一つ話してなかったのに……彼女はこんなところにいて、俺が今彼女の名前を見つけるなんて奇跡があったんだから。
それについて、俺は正直かなり驚いた。
「おめでとう……。すごいな、姉さんは。あの父さんを変えたんだ」
父は『女性の社長』なんて絶対に認めないタイプだ。
だから母さんも姉さんも女だからと軽く見て、家政婦のように扱って、暴言だって当たり前に吐いていた。
そんな父への反抗心もあって、離婚した時、俺は母についていくことを譲らなかった。
なのに姉は父といて、父の歪んだ考えをねじ伏せたのだ。
『私だけじゃない。穂高のおかげもあるわ』
「俺?」
『なんだかんだずっとあんたの活躍はチェックしてるんだから。一度、そっちにも発表を見に行ったことがあるのよ? アメリカで堂々と活躍してる姿には驚かされたみたい。母さんが亡くなってから、あの人は少しずつだけど変わったわ』
俺はそんな父が想像がつかなかった。厳しいだけで、周りをさげすむ父だったのに。
『もう昔の父さんじゃないわよ。それに何かあっても、もう私の方が強いから安心して! ……ねえ、穂高、日本に帰ってこない? 私の右腕になって支えなさいよ』
命令口調が何とも姉らしい。彼女はとても優しいが、それを強い口調で隠す。
「でも、こっちの研究もあるしな……。それに役員とかだろ? 会社の状況もわからない俺には向かないよ」
『開発部ならいいわけ? 穂高の論文見てるけど、最近ほとんど面白い研究してないじゃない。その点、うちの開発部は私が基礎を作ったから面白いわよ。それに、開発部員も私が就職の時から面接で決めたんだから優秀で面白い子ばっかり! あなたが来てくれたら本当に助かるの』
姉さんが立ち上げた場所。少し、面白そうだと思った。
『今までの特許とか資料送ってあげるから見て考えて、返事ちょうだい。待ってるから』
そう言って、姉は一方的に電話を切った。
一緒に住んでいた時間は長くなかったが、両親が離婚してからも、姉は何度も連絡をくれ、父とのパイプ役にもなってくれた。
母が入院した時も、亡くなった時も、そばにいてくれた。
年が離れているからか、俺にとっては第二の母みたいな存在だった。
そんな姉が力を貸してほしいと言うなら、戻りたい気持ちもよぎる。
俺は少しシスコン気味なのかもしれないな、と思って苦笑しながら、すぐにPCで送られてきたメールを開いた。
そこには、会社の説明、これまでの特許、現在の研究テーマ……。その中に、一つの名前があった。
――桐沢千紘。
時間が止まったようだった。
同姓同名か……?
そう疑ったが、調べるほどにやっぱり本人だった。
「……運命」
気づけばそんな言葉がこぼれていた。
だって、俺は母の姓で名字も違うし、彼女には家の事情なんて何一つ話してなかったのに……彼女はこんなところにいて、俺が今彼女の名前を見つけるなんて奇跡があったんだから。