辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
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デクランへ。
あなたが私を救ってくれた全ての日々に、
どれだけ感謝してもしきれません。
けれど私は、あなたに頼ってばかりではいられない。
私自身の過去と、縛りを断ち切らなければ、
あなたの隣に立つ未来を願う資格すらありません。
臆病な私は、あなたがそばにいると心が揺れてしまうの。
だから一人で行くことを選びました。
どうか、私を憎まないで。
——どうか、生きてまた会いましょう。
私たちの未来が、失われていませんように。
ファティマ
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デクランは震える指で封を切り、
ファティマの文字を追うにつれ、
こわばっていた眉がゆっくりほどけていく。
彼女が自分を信じてくれていること。
彼の気持ちを揺らしたくないこと。
そして自分の「未来」を選ぶために戦う覚悟。
全部が、痛いほど伝わってくる。
読み終えたあと、
デクランは深く息を吸う。
「……そうか。
彼女が、自分で選んだ道なんだ。」
怒りも悲しみも、そこにはもうなかった。
あるのは、
胸の奥からじんわりと湧く想い。
(ファティマ……君は本当に、強い人だ。)