辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る
そこへ、
慌てた顔のカーティスが走ってくる。
「デクラン!追うのか?
俺たちすぐに準備——」
デクランは静かに首を振った。
「いや……追わない。」
「……え?」
「彼女は、“ひとりで行く”と決めたんだ。
僕の存在が迷わせると分かっていて……それでも進むと。」
デクランは空を見上げた。
まだ淡い朝焼けが広がっている。
「だったら僕は、信じて待つよ。
彼女が全てを終えた時、“帰る場所”を……僕が守る。」
カーティスはしばし言葉を失ったが、
デクランの目に迷いがないことを見て
肩をすくめる。
「……お前、本当にバカがつくほど真っ直ぐだな。」
「知ってる。」
「でもまぁ……そういうとこが、
あのファティマ様の心を動かしたんだろうな。」
デクランは照れくさそうに笑う。
「……だといいな。」
カーティスは軽く拳でデクランの胸を叩く。
「よし。じゃあ俺も手伝ってやるよ。
“帰ってきた時に胸張って迎えられる準備”ってやつをな。」
デクランの表情が少しだけ柔らぐ。
そっとファティマの手紙を胸元にしまい、
離宮の方へゆっくり歩き出す。
「ファティマ……
君が選んだ戦いなら、きっと勝ち抜く。
君が僕のところに帰ってくるのを、ずっと待っているよ。」
慌てた顔のカーティスが走ってくる。
「デクラン!追うのか?
俺たちすぐに準備——」
デクランは静かに首を振った。
「いや……追わない。」
「……え?」
「彼女は、“ひとりで行く”と決めたんだ。
僕の存在が迷わせると分かっていて……それでも進むと。」
デクランは空を見上げた。
まだ淡い朝焼けが広がっている。
「だったら僕は、信じて待つよ。
彼女が全てを終えた時、“帰る場所”を……僕が守る。」
カーティスはしばし言葉を失ったが、
デクランの目に迷いがないことを見て
肩をすくめる。
「……お前、本当にバカがつくほど真っ直ぐだな。」
「知ってる。」
「でもまぁ……そういうとこが、
あのファティマ様の心を動かしたんだろうな。」
デクランは照れくさそうに笑う。
「……だといいな。」
カーティスは軽く拳でデクランの胸を叩く。
「よし。じゃあ俺も手伝ってやるよ。
“帰ってきた時に胸張って迎えられる準備”ってやつをな。」
デクランの表情が少しだけ柔らぐ。
そっとファティマの手紙を胸元にしまい、
離宮の方へゆっくり歩き出す。
「ファティマ……
君が選んだ戦いなら、きっと勝ち抜く。
君が僕のところに帰ってくるのを、ずっと待っているよ。」