コンビニからはじまる最後の恋
「どうして今なの……?」
「……2週間ぐらいまえにサッカー部のみんなと集まった時、聞いたんです。夏葉先輩、キャプテンと別れてるって。その……」

言い淀む彼に変わり、私が続ける。
思いっきり明るく。

「なんだ、別れたことみんな知ってたんだ。尚貴ってほんとひどいのよ、二股かけてたの。しかも子供が生まれたから結……」
「俺じゃだめですか?」
「……え?」
「今も……今までもずっと好きなんです。だからもう諦めたくない」
「ちょ、ちょっと待って。急に言われても私……」

その時だった。

キキーーーーッ!!

「あぶないっ!」

車が急停止するより早く、彼の腕がサッと伸びてきた。

「ニャオーン」

ライトに照らされた白猫が、悠々と道路を渡っていく。

(ね、猫……)

茂みの奥に猫が消えると、2人同時にホッとした。


「怪我はありませんか? 大丈夫ですか?」
「うん、平気。ありがとう」
「よかった……!! 大事な人に怪我させるところだった……」

(大事な人……そんな風に思ってくれてたんだ)

咄嗟にこぼれた言葉だからこそ、彼の本気の気持ちが表れているのがわかる。
< 15 / 19 >

この作品をシェア

pagetop