百十一は思う。ある意味、難攻不落だと。

 私もビルに戻った。

今日の百十一さんは少しおかしかった気がする。戦略課の修多良(しゅたら)さんと、また新たな賭けゲームでも企んでいるのだろうか?

午後の仕事は、来年度新卒者向けの企業展に向けた企画内容をまとめた。

計画通りに仕事が進んで、予定通り18時半に退社。


 秋も深まるこの季節。まだまだ昼間は暑いのに、日が短くなったように思う。もう外は暗い。

ビルを出て駅に向かおうとしたところで、呼び止められた。


「和果…………」

「―――え?」

 
振り返れば、正二がいた。

    
< 14 / 80 >

この作品をシェア

pagetop