百十一は思う。ある意味、難攻不落だと。
私もビルに戻った。
今日の百十一さんは少しおかしかった気がする。戦略課の修多良さんと、また新たな賭けゲームでも企んでいるのだろうか?
午後の仕事は、来年度新卒者向けの企業展に向けた企画内容をまとめた。
計画通りに仕事が進んで、予定通り18時半に退社。
秋も深まるこの季節。まだまだ昼間は暑いのに、日が短くなったように思う。もう外は暗い。
ビルを出て駅に向かおうとしたところで、呼び止められた。
「和果…………」
「―――え?」
振り返れば、正二がいた。