百十一は思う。ある意味、難攻不落だと。
歩行者側にかなり近いから、気付かれるかもと思ったけれど。なにやら運転席の彼とはおしゃべりが弾んでいるよう。

へえ。越名さんて、だいぶ前に帰らなかったっけ? こんな遅い時間まで真木さんと何してたの?
 
「あの人、真木さんだろ? あの2人、付き合ってるのかな。」

「なんでもあの2人、高校時代の先輩後輩らしいですよ。」

「へえ。なるほどねえ。あの百十一が遅れを取ったってわけか。」

「え? 百十一がなんですって?」

「百十一って、最近けっこう越名さんに固執してるからさ。てっきり狙ってんのかと思って。」   
 
ホおおんんよく見てるんですねえ百十一のことお。前に2人で飲んだことあるって行ってましたもんねえええ。

「私、真木の兄貴と高校時代の同級生だったんだけどさ。」

「ええっ、そうなんですか?」

「うん。実はさ、真木の兄貴と付き合ってたこともあって」     

「え?!! 課長と、真木さんのお兄さんが??」

「うん。びっくりだろ? この私にもそんな時代があったんだよ。」

真木さん、お兄さんがいるの? 課長と同級生ってことは、兄弟でだいぶ年が離れてるってことか。でもお兄さんはあの行政書士事務所では働いてないよね?

「というか課長、もしかして今でもそのお兄さんと繋がってたりします?」

「うん。ちょっと前に結婚式にも参列したしね。」

「す、すごいですね。よく付き合ってた人の結婚式とか行けちゃいますね。呼ぶ方も呼ぶ方だけど。」

「付き合ってたなんて大昔の話だもん。ただの腐れ縁ってやつだよ。」

そうだとしても、元彼とそこまで長く連絡が途絶えないなんて、並々ならぬ尋常な想いがあるからなんじゃないですか?

気になる情報を得てしまったことで今日も俺の心はかき乱される。
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