拝啓、愛しのパイロット様

「宇佐美実登里の息子の由桔也です」
「実登里先生の息子さんですか?」

 驚いて聞き返すと同時に、スマホにもうひとつメッセージが届く。

『私の代わりに息子がそちらに行きます。このお詫びはまた後日します』

 メッセージを確認した小町は由桔也を二度見した。
 言われてみれば、彼はどことなく実登里に似ていた。
 これ以上は疑う余地はない。

「仁科小町です。はじめまして」

 改めて自己紹介すると、由桔也は心底申し訳なさそうに口を開いた。

「遅れてすまなかった。出がけにひと悶着あって」
「ひと悶着?」
「母がどうしても行くって聞かなくて。必死で引き留めていた」

 由桔也の話を聞いた小町はぎょっとした。
 腰を痛めているのに出かけようとするなんて、無謀すぎる。

「先生は大丈夫なんですか?腰を痛めたって聞きましたけど」
「大丈夫。ただのぎっくり腰だから」

 由桔也の話に寄ると、小町と会うため張り切って支度をしている途中、少し高めの位置にある服をとろうと身体を伸ばした結果、腰を痛めてしまったらしい。
< 18 / 110 >

この作品をシェア

pagetop