拝啓、愛しのパイロット様
「ああ、それと、俺のことは由桔也でいいよ。母と同じ苗字だし、ややこしいだろう?」
「わかりました」
小町が小さく頷くと、由桔也はフレンドリーに笑いかけてくれた。
不意打ちの笑顔に、なぜかドキリと胸が高鳴る。
「文房具メーカーに勤務してるってことは、文房具が好きなの?そのボールペンもその手帳のカバーもすごくこだわりがありそうだよな」
由桔也が指差したのは、小町の相棒でもある仕事道具だ。
オーダメイドの黒革の手帳カバーには金字で名前が刻印されており、ボールペンもお気に入りの海外メーカー製の品だ。
文房具に対する思いを言い当てられ、小町は大きく胸を張った。
「はい、大好きです。いつか自分の考えた文房具を商品化するのが夢なんです」
早口で語りだしたい気持ちを必死で抑え、控えめに答える。
こんなところでうっかり本気で文房具の良さを訴えたら、変人扱いされるに決まっている。
「夢に向かってがんばっててすごいな」
「あ、いえ。本当にまだ全然って感じなので……」
先ほどの意趣返しのように褒め返され、小町はしどろもどろになった。
堂々とした態度の由桔也とは真逆で、今にも声が消え入りそうだ。
(雑談はこれぐらいにして、そろそろ本題に入らなきゃ)
小町は姿勢を正し、聞き出した情報をもとに、いくつか候補をピックアップした。