拝啓、愛しのパイロット様
「予算内に収めるとしたら、このあたりですね」
小町はカタログをめくりながら、由桔也に説明した。
人気なのは、実用性を兼ねたボールペンやカラーマーカー、ちょっとしたメモ帳などだ。
「なるほど」
由桔也は険しい表情でカタログを見つめている。
「せっかくの三十周年記念の個展だから、もう少し凝ったものを配りたい気もするが……」
「そうなると予算が……」
「予算からオーバーした分は俺が個人的に負担するよ。くれぐれも母には内緒にしておいてくれよ」
人差し指を口もとにあて、茶目っ気たっぷりに頼まれたら、嫌とは言えない。
「わかりました」
小町はクスリと笑いながら、共犯者になることを快諾した。
予算の問題がクリアになり、このまま順調に進むと思いきや。
カタログを眺める由桔也の表情は渋いままだった。小町が他に候補を挙げても、いまいちピンとこないようだ。
「なにかいいアイディアはないか?」
「いいアイディアですか?」
そう尋ねられた小町は頭をフル回転させた。
書道家として活躍する実登里のことを頭に浮かべながら、ひたすら考えた末に、名案を思いつく。