拝啓、愛しのパイロット様
ふたりは最上階の飲食店フロアにある、イタリアレストランまで足を運んだ。
繁華街の風景がよく見える窓際の席に案内され、店員からすすめられたピザ釜で焼いた特製ピザと前菜の盛り合わせ、鶏肉のローストを注文する。
「金曜の夜なのに、付き合わせて悪かった。他に予定とかなかったのか?」
「いえ。全然平気です」
「でも、彼氏とか……」
「あははっ。彼氏なんていませんよ」
小町がおどけながら首を横に振ると、由桔也は控えめに「そうか」とだけ答えた。
その直後、テーブルに美味しそうな料理の数々が届けられる。
どれも絶品で、小町は喜んで舌鼓を打った。
「一緒に来てもらって本当に助かった。いつもこういう母への贈り物は姉が選んでいたから」
「へえ、お姉さんがいらっしゃるんですか」
「ああ。半年前に夫の転勤についていって、今は東京から離れているんだ」
「由桔也さんのお姉さんなら、さぞかし美人なんでしょうね。羨ましいなあ。私はひとりっ子なんで」
小町が手放しで褒めると、由桔也は途端に渋い表情になった。