拝啓、愛しのパイロット様

「姉なんていても面倒なだけだ。厄介ごとは全部こちらに回されるし」
「あははっ!」

 きょうだいあるあるを聞いて、思わず声をあげて笑ってしまう。
 非の打ち所のないように見える由桔也でも、姉には頭が上がらないのがおかしくてたまらない。

「素敵なストールが見つかってよかったです」

 和装にも洋装にも使えそうな、シルクのストールは実登里の清廉な雰囲気によく合っている。
 きっと、喜んでもらえるだろう。

「全部、仁科さんのおかげだよ。記念品の件だって、どんな字にするか母も今から張り切ってる」
「張り切りすぎてまた無理しないといいんですけどね」
「そうだな。しっかり見張っとく」
「ふふっ。お願いしますね」

 美味しい料理に小気味よい会話。
 由桔也との食事は思いの外、楽しいものになった。
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