拝啓、愛しのパイロット様
(でも、どうやって住所を?)
たしかに部長権限があれば、社員の緊急連絡先や現住所を調べることは可能だ。
さすがの神城もそこまでしないと思いたい。
けれど、あんなひとりよがりのサプライズをする人間なら、職務を逸脱する可能性も否定できない。
(どうしよう)
小町が困り果てていると、由桔也がたまりかねたように口を開く。
「警察にちゃんと調べてもらおう。防犯カメラをチェックすれば、犯人が特定できるだろうし、悪質な場合は警告してもらえる」
「警察……」
警察と聞いて、小町に緊張が走る。
もし神城が犯人だとして、彼は社長の息子で、スターライト文具の次期社長だ。
(もし警察沙汰になったら、スターライト文具の名前が好ましくない形で報道されるかも)
神城は巷では、『文具界期待の御曹司』なんて持て囃され、メディアへの露出もしている。
もしマスコミに嗅ぎつけられたら、スターライト文具の名前は地に堕ちる。
小町はあのいちごのペンケースに出会って以来、スターライト文具が大好きで、あの場所で働いていることに誇りを持っている。
だからこそ、会社の名前やそこで働く仲間たちのためにも、望ましい形以外で会社を有名にしたくない。