拝啓、愛しのパイロット様
(変なの)
小町は飲みかけのホットミルクを口に運びながら、ひとり考え始めた。
名前を呼んでいいと許可をもらっただけで、あれほど喜んでくれるなんて。
「どうして、ここまでしてくれるんですか?」
由桔也が他人の世話を焼くことに喜びを感じるタイプなのだろうか。
小町を助けたとしても、なんのメリットもなさそうだけれど。
不思議に思い尋ねると、由桔也はマグカップをテーブルにそっと置いた。
「そういえば、車の中では話が途中だったよな」
ギシリとソファが軋み、小町を見下ろすように身体の位置を変える。
由桔也はニコリと笑ったかと思うと、戸惑う小町の瞳を真剣な眼差しで射抜いた。
「俺は小町の恋人になりたい」
「え……?」
自分が聞いたものが信じられず、思わず息が止まりそうになる。
今まで大人しかった心臓が急にバクバクと動きだし、にわかに存在を主張し始める。
「恋人、ですか?」
「ああ」
「なぜ?」
理由を問いただすと、由桔也の顔が徐々に近づいてくる。
少しでも動いたら、唇同士が触れ合ってしまうほどの距離。
彼の息遣いを間近で感じ、身体が動かせなくなる。
「小町が好きだからだよ」
小町は、自信たっぷりに告げる由桔也をただ仰ぎ見ることしかできなかった。