拝啓、愛しのパイロット様
◇
翌朝、目を覚ました小町は見知らぬ天井を見上げ、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなった。
やがて、グレーのシーツがかかった布団の中で、自分の状況を少しずつ思い出していく。
(そうか。昨日は由桔也さんのマンションに泊めてもらったんだっけ)
ライトブルーのカーテンからわずかに零れた太陽の光がベッドに差し込んできて、思わず目を細める。
目を擦りながら身体を起こし、ゆっくりと窓に近づき、カーテンを開け放つ。
(綺麗……)
窓から見える海は、まるで四角く切り取られた絵画のように美しかった。
ゆらゆらと揺れる水平線を眺めていたら、遠くの空から飛行機が次から次へとやってくるのが見える。
(由桔也さんもあんな風に空を飛ぶのかな)
パイロットとして空を悠々と飛び回る由桔也の姿を頭に思い浮かべ、ふふっと小さな笑いが漏れる。
カーテンを元通りに閉め、サイドボードの上に置かれたデジタル時計に目をやると、朝の八時を少し過ぎたところだった。
(よく寝たなあ)
小町はあくびを噛み殺しながら、天井に向かって大きく伸びをした。
ベッドを使ったおかげなのか、あんな出来事が起こった直後だというのにぐっすり眠れた。