拝啓、愛しのパイロット様
乗客の命を預かる立場として、彼らに課せられた責任は重い。
だからといって、普段の生活から節制が必要なんて、パイロットという職業はつくづく大変だ。
今のところ、小町の予想の遥か上をいっている。
「まあ、さすがにこの生活にも慣れたけど、今日ばかりはパイロットになって初めて後悔したよ」
「え?」
「地上にいれば、小町になにかあったときに、すぐに駆けつけられるってずっと考えていた」
前髪の隙間からのぞく由桔也の瞳には、窓から眺めたあの青空のように曇りひとつなくて、ついドキリとする。
職を投げうってでも駆けつけようとしている、その意味を考え始めてしまう。
昨夜、好きだと言われたことを忘れていたわけではないが、こうも正直に好意があると伝えられた途端に、思考が停止する。
「もちろん。なにもない方がいいに決まっているけどな」
「そ、そうですね!」
小町はニッと笑う由桔也に慌てて賛同し、今度こそ目の前の朝食に集中した。