拝啓、愛しのパイロット様
「あのさ、ひとつ提案があるんだけど」
「提案ですか?」
「小町さえよければ、しばらくここに住まないか?」
「え?」
小町は目を瞬かせ、彼の本心を探ろうとじいっと見つめ返した。
すると、由桔也はふうっと物憂げなため息をついた。
「小町が心配なんだ。警察沙汰にしないなら、せめて俺の目の届くところにいてほしい。昨日はあれくらいで済んだけれど、部屋の中まで入り込まれていたらと思うとぞっとする」
突飛すぎる由桔也の想像を、考えすぎだと一蹴できなかった。
倫理観の欠如した人間なら、なんの躊躇いもなく悪事に手を染めるだろう。
「でも――」
「君に好意を持つ男がいるんだ。俺を利用すればいい。簡単だろう?」
なおも頑なに援助の手を拒もうとする小町のセリフは由桔也に遮られた。
彼は本気で小町を心配して、この部屋に住ませようとしている。
「利用なんて……そんなことできません」
誰にも頼る人がいないからといって、彼の好意にすがって甘えるなんてできない。
ただでさえ、手を煩わせているのに。
罪悪感に駆られた小町は目を伏せ、由桔也から顔を背けた。
「小町は優しいんだな」
思いがけない言葉が頭上から降り注ぎ、思わず顔を上げる。