拝啓、愛しのパイロット様
コーヒーを飲み終わると早速、ふたりは昨夜と同じように彼の運転する車で小町のマンションへ向かった。
「今日は大丈夫そうだな」
もしかしたら、昨日と同様にエントランスに不穏なメッセージが残されているのではと、気を揉んだが、明らかな異常は見当たらず安堵する。
小町の部屋は三階で、エレベーターホールから真っ直ぐ伸びる廊下を歩いた突き当り。奥から二番目の部屋だ。
用心しながら鍵を開け部屋の中に足を踏み入れたものの、他人が足を踏み入れた気配はなく、昨日の朝慌ただしく出かけた状態のままだった。
「荷造りが終わるまで、座って待っていてください」
「手伝おうか?」
「平気です」
小町はクローゼットがらスーツケースを取り出し、床に広げると、当面の着替えや、貴重品を手早く詰めていく。
あらかた必需品を詰め終わったところで、部屋の隅に三段に重ねて積んでいた大型の収納ケースに手をかける。
一番上の収納ケースを床に下ろし、蓋を開けると、そこにはこれまで購入してきた文房具の数々がぎっしり入っていた。