拝啓、愛しのパイロット様
「すごい量だな」
夥しい量の文房具の数々を目の当たりにし、由桔也も目を丸くしている。
「つい買いすぎちゃうんですよね」
買いすぎだと思いつつも、こればっかりはやめられない。
文房具収集は小町のライフワークと言っても過言ではない。
次から次へと発売される最新の文房具の数々をいち早く入手し、使い心地や、ディティールを確かめる。その時間がたまらなく好きだ。
仮住まいとなるマンションにも持ち込まなければ、落ち着かないくらいだ。
(うーん。どれを持っていこう)
どれを持っていくか頭を悩ませていると、由桔也が収納ケースを見つめながら口を開く。
「どうしてこんなに文房具が好きなんだ?」
理由を尋ねられた小町は、文房具の数々に視線を落としながら、ふっと口もとを緩めた。
「私、家庭の事情で子どもの頃に何度も転校しているんです」
最初は母が父と離婚したとき。
その後、母に連れられ、さらに二回。
最後の転校は祖母と一緒に暮らし始めたときだ。