拝啓、愛しのパイロット様

「環境が変わって新しい友達を作らなくちゃいけないのに、私ってばうまく話せなくて。そんなとき、文房具には色々と助けてもらったんです」

 当時流行っていたキラキラのラメ入りボールペン。香りつきのかわいいシール。動物の立体消しゴム。
 生まれや育ちも違っても、かわいい文房具は共通の話題を作ってくれた。

「最初は馴染めなかったんですけど、かわいいメモ用紙で手紙を送り合ったら、すぐに仲良くなれたんです」

 かわいい文房具に惹かれてしまうのは、女性の性なのだろう。
 会話のきっかけさえ掴めれば、仲良くなるのに時間はかからなかった。

「小町にとっては大事な思い出なんだな」
「はい。これも全部新しい文房具を買ってくれたおばあちゃんのおかげです」

 祖母が買ってくれたいちごのペンケースは、いつも小町のそばにあった。
 まるで、ひとりじゃないと語りかけているようだった。
 小町は思い出のアルバムを閉じるように、収納ケースの蓋を元通りに戻した。
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