拝啓、愛しのパイロット様

 ボールペンを購入したあとは、三階に行き手帳カバーを購入した。
 こちらはイタリア製の伝統的な製法で作られた上質な本革でできており、シンプルながら優雅なデザインの一品だ。もちろん名入れもお願いした。

「出来上がるのが楽しみですね」
「そうだな」

 萬田屋から出る頃には四時を過ぎていたが、太陽の勢いはまだ衰えることなく、無防備な肌をジリジリと焦がす。

 空調のきいた店内から出た途端に汗が噴き出してくる。夏が始まったばかりなのに、もうこんなにも暑い。

「今日のお礼に甘いものでも奢るよ。一本裏の通りにおいしいかき氷のお店があるんだ」
「由桔也さん、かき氷なんて食べるんですか?」
「甘いものは結構好きだよ」

 かき氷という涼しげな響きに惹かれ、由桔也のあとについていくと、案内されたお店の前には三組ほどが待機していた。

 十五分ほど列に並んで、ようやくテーブルに案内される。

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