拝啓、愛しのパイロット様

「美味しいです!」
「ククッ。ああ、それはよかった」

 マンゴーの爽やかな甘味を堪能しながら答えると、由桔也は少年のように無邪気な笑顔を小町に向けた。

(こんな風に笑うんだ)

 いつも冷静な由桔也が子供みたいにはしゃいでいる姿を目の当たりにして、思いかけずドキドキさせられてしまう。

(かき氷を食べさせてもらっただけじゃない)

 小町は落ち着かない心臓の鼓動に気づかないふりをして、意図的に話題を変えた。

「由桔也さんはどうしてパイロットになろうと思ったんですか?」
「ん?」
「あ、えっと。実登里先生みたいに書道家になるって道もあったんじゃないかなと思って。ほら、由桔也さんの字って先生に負けず劣らずとっても素敵ですし!」
「ははっ。ありがとうな」

 取ってつけたような褒め言葉でも、由桔也は大いに喜んでくれた。
 そして、うーんと悩みながらも小町の質問に答えようとする。

「俺は書道家には向いていないよ。お手本通りの字が書けることと、書道家としての心構えってやっぱり違うと思うし、裏方で充分だ」

 実登里の姿を間近で見続けていて彼には、思うところがあったのだろう。
 書道家としての道は、早々に視野から消えたみたいだ。

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