拝啓、愛しのパイロット様

「この人だって思ったら、もう止まらなかった。気がついたら小町のことばかり考えてた。こんな気持ちになるのは初めてなんだ」

 由桔也の頬は興奮でわずかに赤みが差していた。
 見てはいけないものを見てしまった気分に陥り、小町は慌てて目を伏せた。

(由桔也さんが?まさか、本当に?)

 なんとはなしに発した言葉が、心の琴線に触れる。
 彼の場合は、それが小町だったのだ。

 心のどこかで本気のはずがないと疑っていたが、どうやら間違いだったみたいだ。
 いつも余裕があって、慌てる様子をひとつも見せない由桔也が、かき氷の冷たさに抗うように頬を染めている。
 彼にとっては知り合ってからの時間なんて関係ないのだ。

 自分の気持ちに真っ直ぐに生きている由桔也があまりに眩しくて、小町は小さく息を吐いた。

(わかってる。正直に言わなきゃ)

 ふざけているわけではないからこそ、誠意を持って向き合わなくてはならない。
 小町はスプーンを置き、意を決して由桔也に向き直った。

「私、恋愛に向いていないんです」

 自分の話をするのは、ある種の覚悟と勇気が必要だった。
 それでも小町は口を引き結び、同情を買わないように淡々と話し続けた。
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